ひとくち法話

念仏(重誓偈)〔ねんぶつ(じゅうせいげ)〕
「我建超世願(がごんちょうせがん)」で始まる偈文(げもん)があります。これは『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)』において、法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)が、自らおこされた48の誓願(せいがん)を、師の世自在王仏(せじざいおうぶつ)にむかって表白(ひょうびゃく)され、その表白が終わった後、頌(じゅ)(詩句)として説かれているものであります。48願で述べられていることを重ねてうたっておられることから、『重誓偈(じゅうせいげ)』と呼ばれています。
この偈文は、その始めのところに「誓不成正覚(せいふじょうしょうがく)」という句が3回おかれています。そこからこの偈文は『三誓偈(さんせいげ)』とも言われています。
三誓のなかの第一は「必至無上道(ひっしむじょうどう)」というものです。この上ない道とは、おさとりの道であります。必ずおさとりの道に至させたい。もしこの願いが満足されることがないのならば、私は仏にならないという誓いです。
第二の誓いは「普済諸貧苦(ふさいしょうびんぐ)」というものです。もろもろの貧しき人々、苦しんでる人々を救っていきたい。もし、そのことができないのならば、私は仏にならないという誓いです。
第三の誓いは「名声超十方(みょうしょうちょうじっぽう)」というものです。「名声」とは、お念仏の声です。私が仏になりました時にはお念仏が広くいきわたりますようにという願いであります。
この三つの誓いのうち、第一の誓いと第二の誓いとは、第三の誓いの中にあらわれているのでしょう。お念仏の中には法蔵菩薩の「必至無上道」という自利(じり)の願いと「普済諸貧苦」という利他(りた)の願いがこめられているのであります。
聖人は、「大小の聖人、重軽(じゅうきょう)の悪人、みな同じく斉(ひと)しく選択(せんじゃく)の大宝海に帰して、念仏成仏すべし(教行証文類行巻)」とすすめておられます。

※「ひとくち法話」真宗高田派本山より

 

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