お寺の現状

今月は総代会とお世話方会があります。2年前は寺業計画書としてお寺の使命やこれからのお寺の目標なども記載したものをお配りしましたが、一度に目を通していただくことも大変でした。今回はもう一度お寺の現状を振り返って意見をいただこうと思います。

お寺の現状と今後のあり方
私のお寺は、津市の久居地区にあります。江戸時代津藩の藤堂家が支藩として久居の地に分藩された場所です。当時の久居には、9ヶ寺ほど新しい町に新しいお寺がありました。現在の久居仏教会(現在不活動)としては18ヶ寺ほど加盟しています。
お寺の半径2Kmの中にお同行様がおよそ350軒ほどあり、お盆などでは自転車でお参りに行くのが便利です。久居から転出されましたお同行様が180軒ほどあり、遠くは東京などの関東圏、愛知県、京都府、奈良県、大阪府、兵庫県、三重県各市町などに点在しています。
近くのお同行様には、それぞれの地区のお世話方様が、行事の案内などをまとめていただいています。
しかし、お世話方様の高齢化や、町の中心街(近隣のお同行様の住まわれている地域)の空洞化、津市全体の人口減少など、社会問題として取り上げられることが私の町でも起きています。行政の自治組織の自治会もこれまでのような関係性が希薄化してきているようにお世話方様を中心としたお寺のコミュニティもこれまでのような関係性が続いていくか心配しています。
今から30年ほど前まで私の地区ではお通夜に僧侶はお勤めに行くことはありませんでした。葬式組と言う最小限のコミュニティが存在しており、「輪とり」 などと言われた組(地区)の年長者が、お通夜の席でお勤めをされていました。その当時、新しい団地などが郊外にでき、そこのお通夜に僧侶が「輪とり」として呼ばれるようになりました。その時、当時の住職(父)と、どのような衣体で、何のお勤めをしようかと話した記憶があります。枕勤めと同じ衣体の、ふほう、輪袈裟として、お勤めは、組の方がお勤めするのが「重誓偈」、「文類さん」、「五首和讃」、「短念仏」、「回向文」と聞いていましたので「重誓偈」を「阿弥陀経」にして「文類さん」、「五首和讃」、「短念仏」、「回向文」と決めて今に至っています。その頃、最小限のコミュニティが無くなっていくことを深刻に受け止めていなかったことが今の現状になったと思います。
また、お墓の継承問題として、跡取りがいらっしゃらなく、外に出た子供(娘)さんが面倒を見られているお墓や、今は当家がお墓を継承されていますが、継承される方が無くなるお墓が120軒ほどあります。お寺のスリム化は少し前から考えていますが、考えをまとめるには至っていません。これまでは、都会のお寺の問題が時間をかけて、地方都市のお寺の問題として浮かび上がってきましたが、これからは、僧侶の資質が問われ、お寺の本来の意義が問われる時代になると思います。葬儀や年回法要を主として考えるなら、亡くなられた方のご家族の悲しみにどのように寄り添っていくことができるか。宗教法人のお寺がより公益法人として活動していくことができるか。宗教者としての研鑽と法人の経営の研鑽が大切になると考えています。

2016-01-08お寺の現状FullSizeRender

新年の準備

新年の準備
年末になりますと、新年のお堂の荘厳の準備が始まります。
妙華寺では、西余間(向かって左手の余間)に7代住職から11代住職の絵像がありますのでお掛けします。また、初代住職の像を安置いたします。その周囲に歴代住職の位牌を出します。ご本尊の前卓前に、お同行様からのお供えを披露いたします。
修正会が終わった時にお出しするお屠蘇の用意をするのも、最近はスーパーでお屠蘇を見つけることができずに、個人の薬屋さんなどに行く場合もあります。修正会にお見えになられる方への印を用意します。
大晦日のなりますと、新年の繰出表(くりだしひょう)を貼りだします。前住職までは、半紙に墨で記していましたが、私の代になりワープロに頼るようになりました。
除夜の鐘は、隣寺が毎年していますので妙華寺ではいたしません。朔日の修正会が午前5時30分から勤まりますので、5時に行事の始まりの鐘を鳴らします。

Processed with MOLDIV

 

 

 

 

高田本山の報恩講(お七夜)

Processed with MOLDIV

高田本山の報恩講(お七夜)
親鸞聖人のご遷化が、今の暦で正月16日です。高田本山の報恩講は毎年ご正忌をご縁として正月9日から16日までお勤めされています。
七昼夜、親鸞聖人のご遺徳をしのび、ご恩を喜び報謝させていただきますので、「お七夜」と親しまれて呼ばれています。

妙華寺からもご懇志を本山にさせていただきそのお印として「御非時券」を17枚ほどいただいています。9日から16日まで本山の食堂(じきどう)で用度(ようど)講の皆様が、美味しいお非時を用意していただいています。
お同行の皆様も高田本山のお七夜にお詣りにいかれるご予定がありましたら妙華寺にお申し出下さい。先着順にはなりますが、「御非時券」をお渡しさせていただきます。

 

 

修正会(しゅしょうえ)は朔日午前5時30分から

修正会(しゅしょうえ)
お正月に修する法会で修正会と言います。
年のはじめに心を新たにして佛前に座し合掌礼拝し、お念仏を申し上げます。
法苑院妙華寺では、元旦午前5時30分からお勤めをしています。
古くは家族で、氏神さんの野辺野神社に初詣でをして、菩提寺の修正会にお詣りをして、お墓にお詣りし、朝家族で新年の挨拶をされたと聞きます。
 お勤めは、『鎮国文』・『重誓偈』・『正信偈』・『現世利益和讃』・『念佛』・『廻向文』で『繙御書』を拝読いたします。
修正会には、必ず『繙御書』(ひもときのごしょ)を拝読いたします。ひもとくとは、巻物をひもとくという意味です。一年の始めに拝聴する御書のことです。この御書は、本山第18世の圓遵(えんじゅん)上人がお書きになりました。一年の始めにあたって忘れてはならない仏法の要をわかりやすく説かれて、求道のこころを諭してくださっています。
その要旨は、
【一】生者必滅の道理。寿命は老少不定(ろうしょうふじょう)の世の中だから、新年を迎えて喜んでもいつの間にか夏がきて、秋暮れて、また一年が経ってしまう。一日一日を無駄に過ごさぬよう。
【二】身にしてはならぬこと、口にしてはならぬこと、心で思ってはならぬことがある。因果応報の業道(ごうどう)は、秤(はかり)のように必ず重い方に牽くから身(しん)・口(く)・意(い)の三業(さんごう)を常に慎むこと。
【三】煩悩いっぱいのわれらは、他力念仏の法に依らねば浄土往生は不可能です。この道を誓われた阿弥陀仏、この教えを伝承されたお釈迦様と七高僧の広大な恩徳に報謝せよ。
【四】先ずは父母孝養(ぶもきょうよう)の心を第一とし、父母存生(ぞんしょう)の日は孝順(きょうじゅん)を先とし、没後は法事を怠ること無く報恩につとめよ。そして、六親眷属(ろくしんけんぞく)むつまじく、互いに信心をみがきなさい。とあります。
最近は、キャンドルモーニングと称して、修正会が始まる前にろうそくに火を灯し境内の参道を照らしています。
参加者に念珠の一珠をお渡しして、24珠で単念珠が、108珠で二連念珠ができるように用意しています。(親珠には「妙華寺」の寺院名が刻印されています)
Processed with MOLDIV

Processed with MOLDIV

古本勧進 やってます

古本勧進
妙華寺で平成25年夏より始めています「古本勧進」は、夏8月末と正月末の年2回、皆様の不要になった古本(裏表紙にバーコードの入っている文庫本・新書本・ハードカバー・漫画本)をお寺にお持ちいただきますと、これまでは東日本大震災で被災されました子どもの教育資金の一部として活動しています団体に寄付してきました。
今回より、寄付先を一人親家族を支援する団体「おてらおやつクラブ」に変更して続けていきます。
私たちの地区では私が小学生の時から子供会が古本や新聞紙、段ボールなどを回収して子供会の資金の一部として活用していますので、不要な古本がお家で眠っていることも少ないと思いますが、年末の大掃除で出てきました場合、ご協力をお願いしたいと思います。
※書き損じのハガキや不要になったCDも買い取りいたします。
  ※雑誌、全集・百科事典などは買い取りの価格に入りませんのでご注意ください。
【古本勧進のHPより】
不要になった本を「おてらおやつクラブ」に寄付しませんか?
本棚に収まりきらなくなった書籍、引越しや大掃除の際に出る大量の書籍の処分にお悩みになった経験はありませんか? 古本勧進(ふるほんかんじん)は、全国各地のお寺が起点になり、皆さんのご自宅に眠る書籍を集めて、様々な活動を支援するプロジェクトです。
2013年〜2015年のお盆と年末年始に実施した古本勧進(第1弾〜第4弾)では、東日本大震災で被災した子どもたちのために買取金額を「公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(学校外教育バウチャー)」「NPO法人フローレンス(ふくしまインドアパーク)」の活動に寄付いたしました。合計600箱以上のダンボール箱を発送し、約57万円もの寄付を贈ることができました。
2015年末〜2016年始に実施の第5弾からは、寄付先を「おてらおやつクラブ」へと変更させていただくこととなりました。
お寺の未来が推奨する「古本勧進」と「おてらおやつクラブ」が一体となり、より一層お寺が子どもたちの明るい未来のためにできることが明確になりました。全国のお寺が書籍やお供え物を通して貧困問題の解決に貢献することを目指します。
【寄付先】おてらおやつクラブ http://otera-oyatsu.club
【買取業者】株式会社バリューブックス http://www.valuebooks.jp
詳細・参加方法等はホームページをご覧ください http://www.higan.net/kanjin.html古本勧進
page001

12月の日曜学校は6日です

12月の日曜学校は6日です。朝7時30分から8時頃までです。
今年最後の日曜学校です。12月は、ご家庭での平素の夕時のお勤めを一緒にお勤めいたします。輪(りん)の鳴らし方や、念珠の持ち方もご一緒にしますので自然と覚えます。
また、参加者に念珠の一珠をお渡しして、24珠で単念珠が、108珠で二連念珠ができるようにご用意しています。(親珠には「妙華寺」の寺院名が刻印されています)
報恩講に引き続いてですが、お待ちしています。

page001

お説教とご法話

お説教とご法話
妙華寺の行事のお勤めの後の布教使様のお話を「お説教」から「ご法話」と言い出したかいつからか定かでないのですが、祖師前(親鸞聖人像がある前の大間)に高座を用意して、布教使様が、黒衣・五条でご出仕されていた時は「お説教」とご案内し、演台と黒板を用意して布教使様が、ふほう・輪袈裟でご出仕されるようになってから「ご法話」と案内するようになったと感じています。
また「お説教」を「お説経」・「お説法」と言う場合もあります。「ご法話」の言葉と共に「お法談」と言う言葉もお聞きします。それぞれ仏法の教え、信心のあり方(信仰のあり方)、功徳を説くことの意味合いになりますが、「説教」と聞くと、目上の方から教訓や堅苦しい話や小言とのように感じる場合もありますし、「説法」と言うと、意見することや自分の考えを相手に言い聞かせることの意味合いもあるようです。
真宗で大切なのは仏法を聞くことであり、「お聴聞」できることを喜びましょう。
妙華寺では、年5回「お聴聞」できる場がございます。「お聴聞」していただく励みとして法会参加票を用意しています。参加していただきますと押印をいたします。10回のご参加で記念の品をお渡ししています。

2015-12-01お説教とご法話②FullSizeRender

 

 

報恩講は12月5日にお勤めいたします

報恩講(ほうおんこう)
報恩講は、宗祖親鸞聖人のご命日をご縁として厳修されます。
高田本山では1月9日から16日までの7昼夜にわたっての法会で「お七夜さん」の名で親しまれています。妙華寺では、以前は12月14日から16日に勤めていました、現在は、12月5日に勤めています。(来年から12月の第一日曜日にお勤めします)
文字通り報恩講は、聖人にお礼を申し上げる法会です。それは煩悩具足(ぼんのうぐそく)の凡夫(ぼんぶ)である私は、地獄・餓鬼・畜生の三悪道(さんなくどう)に墜ちて当然でありますが、他力念仏の大道をお教えいただくことにより、お浄土に往生させていただく身になるからです。
聖人は、「この強縁(ごうえん)は多生(たしょう)にも値(あ)い難(がた)いこと」として、和讃に
如来大悲の恩徳は  身を粉にしても報ずべし
師主・知識の音読は  骨をくだきても謝すべし
と述べられました。
阿弥陀如来が「わが名を称えるものは、必ずお浄土に往生させます」という超世(ちょうせ)の願い(大悲)を成就され、お釈迦さま(師主)がこの世に出られて説法され、その道理を三国(さんごく=インド・中国・日本)の七高僧(知識)が正しく伝承されて、「南無阿弥陀仏」が私に届けられたのであります。聖人は、この経緯を自らの喜びとして、詳しくお示しされたのが真宗の教えであります。聖人は、このご縁はなにものにも代えることができない尊いことで「身を粉にしても、骨をくだいても報謝すべし」と最大級のお言葉で申されました。
報恩講の荘厳の特徴は、西余間に親鸞聖人絵伝(四幅)を掛け親鸞聖人の御生涯をわかりやすく拝見できます。(以前は絵説きもあったようです)
妙華寺の報恩講のお勤めは、高田本山の「初夜」のお勤めをしています。
住職が登壇して毎年「式文」を順読しています。
また、妙華寺では、親友婦人会の皆様で、お非時(ひじ=精進料理)をご奉仕していただいています。冬の寒さの中前日から準備していただいた麹味噌と飛竜頭を炊きたてのご飯と一緒にいただくことを毎年多くの方が楽しみにしていただいています。
今年のご法話は、最勝寺ご住職の長谷部行雄師でこざいます。ご聴聞いたしましょう!

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本堂が、国の有形登録文化財になって11年が経過しました

Processed with MOLDIV

妙華寺の本堂は、平成16年11月29日に国の登録文化財となりました。
昨年が10年目でありましたが大きな行事があり今年に改めて登録文化財の紹介できる冊子を作成しました。今回は、登録文化財の説明文に英訳をつけました。
また、久居の歴史や妙華寺の略縁起・行事なども紹介した冊子です。
今月23日より30日まで、津市行政情報番組(123ch)の「まるっと津ガイド」の「津ぅコレ」の中で久居駅周辺の紹介で妙華寺もその一つとして紹介されています。インターネットでは、「まるっと津ぅガイド」から、またスマートフォーン用の「津ぅなび」と言うアプリがありそちらからでもご覧いただけます。
お寺に撮影に来られた時にお聞きしたのですが、この津市の行政情報番組の作成は、専門的に知識がある人に委託されているのかと思っていましたら、津市の職員の方々が作られているようです。担当は職場の異動で変わられるので、これまでカメラ、音声などの取り扱いをされたことが無い方も仕事としてノウハウを得ていくことになるようです。そこには個々の努力もありますが、人材が豊富であるということもありそうです。

国登録文化財 妙華寺 本堂 江戸時代
妙華寺は久居(ひさい)藩の城下町にある久居藤堂(とうどう)家菩提寺の玉せん寺(ぎょくせんじ)の西隣に並ぶように天和元年(1681)に建立された真宗高田派の寺院です。 文政四年(1821)の久居大火により焼失して、現在の本堂は安政四年(1857)の再建と 伝えられています。山門の奥に南面にして建つ本堂は、木造平屋建で表側(南側)を大 間(だいま)・奥の中央に内陣(ないじん)、その両側に余間(よま)、背面(北側)に 後堂(うしろどう)に区画し、建物の両側面には楽ノ間(がくのま)が配置されています。屋根は桟瓦葺の寄棟造り、錣(しろこ)葺で正面に向拝が突出しています。
高田本山専修寺(せんじゅじ)の御影堂(みえいどう)(重要文化財)と同じ手法が高田派の寺院の本堂建築等に取り入れられています。妙華寺は、藤堂家菩提寺と境内を 並列する待遇を受ける寺院でその本堂は、向拝の装飾的な構成や桟瓦葺の寄棟造りの屋 根に錣(しころ)にするなど特色のある外観をもっており久居の城下町の歴史的景観を留める貴重な建物です。
津市教育委員会

MYOKE-JI (designated as important cultural properties)
Myoke-ji is a time honoured temple of the Takada sect of the Shinshu Buddhist School, established in 1681, Edo period.  It is located in jokamachi (towns surrounding daimyo’s castle) of Hisai-han (“han” is an estate of a daimyo), right next to the Gyokusen-ji, the temple of Hisai-han’s daimyo, Tohdo.
Myoke-ji was burned down by the huge fire which devastated the town of Hisai in 1821.  The current building was rebuilt In 1857.
The wooden made main building placed at the back of the gate consists of Daima at the front, Naijin at the center of the back, Yoma on the both sides of Naijin, and Ushiro at behind.  Gakunoma is located at the both sides of the main building.
Myoke-ji is specially allowed to situate beside Hisai-han’s daimyo, Tohdo’s temple, and is also constructed in the similar way as the head temple of the Takada sec.
Myoke-Ji is a precious temple maintaining historical atmosphere of Hisai’s jokamachi with distinctive appearance, such as decoratively carved eaves and Shikoro styled roof on Yosemune-zukuri architecture (roof sloping into four directions).
「英訳: (一社)お寺の未来  松﨑香織」

お寺のホームページを制作するまでのこと

2015-11-21ホームページ記事1IMG_1373

 

お寺のホームページを制作するまでのこと
お寺のホームページが開設して2ヶ月ほど経ちました。まだお同行様全員に周知できていない状態ですが、お寺のホームページを開設するに至ったことをホームページの制作を依頼しました(一般社団法人)お寺の未来様のホームページで住職の思いを十分くみ取っていただいて記事にしていただきました。
最初のブログでも記載しましたようにお寺のホームページができるまでには、心強くサポートしていただく方々や組織があってのことです。
これまでお寺の広報は年に一度の「寺報」だけでしたが、お寺の近状をお伝えできるよう活用していきたいと思います。

【お寺の未来様のホームページでの紹介文】
タイトル:お寺のホームページ活用事例 - 顔の見える発信で安心感を伝える
「これからのお寺の広報セミナー」講師の遠藤卓也です。
前回は、とある寺院からのご相談を例に「お寺のインターネット発信は必要か?」ということについて書きました。
今回は実際にホームページを導入した事例とご住職の声から、ホームページ開設後のメリットや課題について掘り下げます。
ご紹介する事例は三重県津市の真宗高田派妙華寺さん。私たちお寺の未来が提供するホームページ制作サービスを利用して制作しました。
まずは「なぜ、ホームページを制作しようと思ったか?」妙華寺ご住職の中川和則さんにお伺いしました。(以下、敬称略)
中川「インターネットが身近になり、多くの企業や行政または個人にいたるまで、ホームページを使い情報発信をしています。また、同じ宗派内でもホームページを使って活動内容や魅力を発信しているお寺があります。そういった身近な事例に触れる中で、ホームページによる檀信徒への良い効果を期待できると感じたので、導入を決意しました。」
● パソコンに関する知識や技術を持っていなくても大丈夫?
― ホームページを作るにあたって不安はありましたか?
中川「普段、パソコンはワードとエクセル程度しか使っていないので、詳しい知識や技術を持っていないことが一番の不安要素でした。自分でホームページを作ることは不可能なので、誰かに委託して制作するしかありません。」
- ホームページ制作の委託先を選ぶポイントはどのようにお考えでしたか?
中川「一番は “信頼できるか?” ですね。ホームページは作って終わりではなく、制作後も更新を行なったり、技術的な問題が発生することも想定されます。その際にすぐに対処してもらえないと困ります。二番目は制作費用の面ですね。」
- 今回は私たちお寺の未来にご依頼いただきましたが、どのように不安が解消されましたか?
中川「まずサービスの対象がお寺に限定されているので、わかりやすかったです。サービス案内のパンフレットに制作費・保守費用も明記してあったので安心でした。『未来の住職塾』等で全国の様々な寺院のケースをよくご存知なので、お寺ならではの要望をすぐに理解してもらえる点もスムーズでしたね。担当の遠藤さんはIT企業に勤めていた経験もあり、顔が見えていることも信頼できるポイントです。お寺の事情を汲み取っていただきながら、ホームページでできること・できないことが最初にわかったことがよかったです。」
- ありがとうございます。信頼をしていただけて良かったです。お寺のホームページについては『これからのお寺の広報セミナー』で様々な事例やノウハウを紹介していますが、制作の打合せでもセミナー内容を踏まえて具体的にお話しするように心がけています。
たまに「打合せもプチセミナーみたいですね」と言っていただくこともあります(笑)
妙華寺さんの場合は、特にブログの更新方法について当初からご心配なさっていましたね。
中川「三重と東京で離れていますが、電話でブログの使い方を丁寧に教えてもらえたので、すぐに更新に慣れることができました。その他、細かいことでもメールで尋ねると直ちに適切な返信をしていただけるので、心強いパートナーであると感じています。」
- 嬉しいお言葉です。ブログに対する不安感は事前に聞いていたので、オリジナルのマニュアルをご用意すると共に、お電話で一緒に操作をなぞって、明日からひとりで更新できる状態になっていただくことを目指しました。
早めの段階で不安な点を伝えていただくことで、双方にとって良い影響があると感じました。
● ホームページを通じて若い世代との話が弾んだ!
- ホームページを公開して2ヶ月ほど経ちましたが「よかったこと」はありましたか?
中川「先日、法事のあとでホームページ開設を話題にしたところ、施主のご子息(30代)がその場ですぐにスマートフォンで確認していました。ちょうどブログで書いた『おてらおやつクラブ』の活動について賛同してくださり、話がはずみました。スマートフォンに対応していると、その場ですぐに反応がみられて良いですね。
私は59歳の住職で、普段法事などでお相手する方々は70代~80代の方が中心です。その方々がホームページを見てくれるかは少し疑問ですが、その下の私と同世代の方や、さらに下のこれからの世代の方には見て頂けると実感しています」
- これからの課題と感じていることはありますか?
中川「お寺の未来から毎週ホームページへのアクセス数をお知らせいただいていますが、まだまだ少ないと感じています。檀家様には普段郵送している行事案内や寺報に、開設のお知らせとホームページアドレスを記載しました。また、お寺のパンフレットを刷りなおす際には必ずアドレスを追記したいと思います。」
- 確かに檀信徒への配布物は勿論のこと、お寺のパンフレットや名刺など、初めて会う方にもお渡しする紙媒体への記載は必須ですね。
完成したホームページを通じて、今後お寺にどのような変化を期待していますか?
中川「遠方にいらっしゃる檀家様や、お寺に足を運ぶことができない方へ、写真入りの行事報告などを通じてお寺の魅力を発信できればと思います。”お寺の変化” というより、発信者である私自身やホームページを見ていただく方の、お寺に対する意識の変化を期待したいです。」
- ご自身の意識の変化を挙げられるとは、素晴らしいことだと感じました。数年前にホームページを導入された、とあるご住職の感想として「寺族の意識が高まった」という声を聞いたことがあります。寺族にも良い緊張感とともに見られているという意識が芽生え、参拝者への応対などに変化が出たそうです。妙華寺さんでは具体的にどのような変化を目指していますか?
中川「以前遠藤さんと話していて、なぜお寺は敷居が高いと思われるのか?という話題になりました。遠藤さんはお寺と神社を比較して、お寺は人が住んでいる気配がするから足を踏み入れるのに勇気がいると言っていました。確かに神社のほうが公園のようなパブリックな雰囲気がありますが、お寺の場合は”お寺の住人”を知っている人にとってはより親しみを抱いてもらえる良い面もあると思っています。ですから、”お寺の住人”を知ってもらうという意味でもホームページとブログを活用していきたいです。」
- お寺に住む人たちの顔が見えることは安心感につながり、お寺とお付き合いすることへのハードルがグッと下がります。先ほど、若い人がホームページを見てくれたという経験をお話しいただきましたが、『おてらおやつクラブ』のような全世代が共感できるトピックを織り交ぜたり、住職の特技・寺族の趣味など話題になりそうな内容を含めていくと、
より親近感を持ってもらえますね。話題の幅が広がり、普段話せないと思っていたお檀家さんとの距離が意外に縮まることもあります。
中川さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!
● 広報セミナー講師の視点「ホームページの効果測定はアクセス数のみならず!」
妙華寺さんでは、課題としてアクセス数を挙げていますがアクセス数にはとらわれ過ぎないことが大切です。もちろん多いに越したことはありませんが、一寺院の発信ですから最初は少なくて当然です。数をあげていくという考え方よりも、情報を届けたい対象となる方々に的確に届いているか、という観点で判断したほうがよいでしょう。
妙華寺さんの場合は、檀信徒を中心とするコミュニティへの浸透を目指しているので、法事でお話しする場や寺報などのコミュニケーション機会において、しつこく伝えていくことが大事です。「ホームページを若い人が見てくれて、会話が弾んだ!」という経験も、立派な成果と捉えられるでしょう。
また、妙華寺さんは頻繁にブログを更新されていますが見ている人が少ないからといって、今後更新の手を緩めてしまうことでは勿体ないです。ブログ記事はホームページ上に蓄積され、お寺の大切な「コンテンツ資産」となります。お寺とのご縁を探している潜在的ユーザーにホームページを見つけてもらうためには不可欠な資産です。効果を焦らずに、お寺らしい長期的な時間軸の中で根気よく育てるつもりで続けていきましょう。