お寺の現状

今月は総代会とお世話方会があります。2年前は寺業計画書としてお寺の使命やこれからのお寺の目標なども記載したものをお配りしましたが、一度に目を通していただくことも大変でした。今回はもう一度お寺の現状を振り返って意見をいただこうと思います。

お寺の現状と今後のあり方
私のお寺は、津市の久居地区にあります。江戸時代津藩の藤堂家が支藩として久居の地に分藩された場所です。当時の久居には、9ヶ寺ほど新しい町に新しいお寺がありました。現在の久居仏教会(現在不活動)としては18ヶ寺ほど加盟しています。
お寺の半径2Kmの中にお同行様がおよそ350軒ほどあり、お盆などでは自転車でお参りに行くのが便利です。久居から転出されましたお同行様が180軒ほどあり、遠くは東京などの関東圏、愛知県、京都府、奈良県、大阪府、兵庫県、三重県各市町などに点在しています。
近くのお同行様には、それぞれの地区のお世話方様が、行事の案内などをまとめていただいています。
しかし、お世話方様の高齢化や、町の中心街(近隣のお同行様の住まわれている地域)の空洞化、津市全体の人口減少など、社会問題として取り上げられることが私の町でも起きています。行政の自治組織の自治会もこれまでのような関係性が希薄化してきているようにお世話方様を中心としたお寺のコミュニティもこれまでのような関係性が続いていくか心配しています。
今から30年ほど前まで私の地区ではお通夜に僧侶はお勤めに行くことはありませんでした。葬式組と言う最小限のコミュニティが存在しており、「輪とり」 などと言われた組(地区)の年長者が、お通夜の席でお勤めをされていました。その当時、新しい団地などが郊外にでき、そこのお通夜に僧侶が「輪とり」として呼ばれるようになりました。その時、当時の住職(父)と、どのような衣体で、何のお勤めをしようかと話した記憶があります。枕勤めと同じ衣体の、ふほう、輪袈裟として、お勤めは、組の方がお勤めするのが「重誓偈」、「文類さん」、「五首和讃」、「短念仏」、「回向文」と聞いていましたので「重誓偈」を「阿弥陀経」にして「文類さん」、「五首和讃」、「短念仏」、「回向文」と決めて今に至っています。その頃、最小限のコミュニティが無くなっていくことを深刻に受け止めていなかったことが今の現状になったと思います。
また、お墓の継承問題として、跡取りがいらっしゃらなく、外に出た子供(娘)さんが面倒を見られているお墓や、今は当家がお墓を継承されていますが、継承される方が無くなるお墓が120軒ほどあります。お寺のスリム化は少し前から考えていますが、考えをまとめるには至っていません。これまでは、都会のお寺の問題が時間をかけて、地方都市のお寺の問題として浮かび上がってきましたが、これからは、僧侶の資質が問われ、お寺の本来の意義が問われる時代になると思います。葬儀や年回法要を主として考えるなら、亡くなられた方のご家族の悲しみにどのように寄り添っていくことができるか。宗教法人のお寺がより公益法人として活動していくことができるか。宗教者としての研鑽と法人の経営の研鑽が大切になると考えています。

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