ひとくち法話

病とのおつきあい
日本は世界最高の長寿国だと言われています。その理由は医学の発達と食物等生活環境の良いことがあげられます。しかし、長寿なるが故に反面、複雑で多様な病にめぐりあわねばなりません。巷には病院や診療所などに病人が溢れています。病気になっても、なかなか死なせてもらえずに、病に苦しまねばなりません。病気にはかかりたくない、かかっても早く治りたいという気持ちは人情の常ですが、お医者さんだって、治せない病は治してくれません。病はいやだ、きらいだと逃げまわっていても、余計に悪くなる場合もあります。
真宗の教えの重要なことのひとつは、自分が凡夫であることの自覚によって「自力無効(じりきむこう)」とめざめることです。お医者の施療活動も、栄養や保健管理等も一種の自力のはたらきです。自力のはたらきには限界のあることも自覚せねばなりません。ある名僧は次のように語られました。「病気になるのは何かのたたりではない。病気は煩(わずら)わさせてもらうもの、病気になったおかげで、娑婆(しゃば)がわかり、人間そのものがわかり、自分の弱さや醜さもわかるのです。そして他人様の親切もわかるのです。病気は自分の凡夫性に気付く絶好の機会なのです。病気も仏作仏法(ぶっさぶつぎょう)、如来様のおはからいと申せましょう。」
このように病とおつきあいをすれば病も軽くなり、病の苦もへるのではないでしょうか。お念仏をいただくと、三世(さんぜ)の罪障(ざいしょう)が軽くなるという、ご和讃が改めて深く味わえます。
※「ひとくち法話」真宗高田派本山より
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