佛涅槃図

佛涅槃図の見所
お釈迦様が亡くなられたのが2月15日。妙華寺では今日から3月15日まで、本堂西余間(むかって左側)に涅槃図をお掛けします。
この佛涅槃図は、親鸞聖人750回御遠忌の記念として高田本山より京都別院の佛涅槃図の複製が配布されましたものです。平成24年よりお掛けしています。
京都別院の佛涅槃図は、室町時代の兆殿司筆で、大きさは、縦151.2cm 横128.7cmです。

今回は佛涅槃図の見所の一部をご紹介いたします。
①お釈迦様の右手の表現
(1)両手を体につけて仰臥か右脇臥
(2)右手を顔前におき右脇臥
(3)右手枕で右脇臥
古代インドで(1)の両手体側・仰臥は「死者の臥法」(3)の右手枕・右脇臥は「獅子の臥法」と呼ばれ大般涅槃を成就した聖者の表現とされている。

日本で唯一 珍しい涅槃図 お釈迦様の右手の表現で上記の3点に納まらない作品がある。「大和法隆寺現身往生宝塔北正面涅槃像」と刻入されている木版涅槃図。
右脇を下に横臥されたお釈迦様は右手をまっすぐ前下方に差し出され、宝床下で一人物がその手に触れている。

②お釈迦様の枕
(1)手枕のみ
(2)枕をして手枕 『長阿含経』に「大衣を畳んで・・・」とありこれが枕に変わって表現 ガンダーラ出土の石彫の涅槃図などにもある。鈴鹿市の龍光寺の涅槃図もこの構図
(3)枕が蓮華台 右手が枕でない構図が多い。東福寺本、平安時代後期の金剛峯寺本の涅槃図の構図
例外として鎌倉時代後期の愛知・妙興寺本、京都大徳寺本は、右手はお顔の前にあり、枕は蓮華台でなく袈裟を畳んだものを枕とされている。

③宝床の向き
(1)宝床の右側を描く
(2)宝床の左側を描く
平安時代から見られる宝床の右側面を描く形式が古様な表現で鎌倉時代に入り、お釈迦様が右手枕をし宝床の左側面が描かれるものが現れこの形式が定着していく。

※涅槃図の見所は『涅槃図物語』竹林史博著 大法輪閣より抜粋しました。