今月の本

今月の本『利他主義と宗教』稲場圭信 弘文堂
10年前(東日本大震災の後)に出版された本に出会った。宗教社会学の研究者で 共生(きょうせい)学を立ち上げた一人である稲場氏の宗教的利他主義の研究20年目頃に出版された1冊で海外の宗教団体や日本の宗教団体での調査や、阪神淡路大震災や東日本大震災などの非常時での宗教者の活動や日常での活動を、研究者(生活者)の視点から宗教者や宗教法人の現状と将来を語られていて、とても感銘を受けました。
私(住職)の中で、宗教者として社会貢献の活動をしているのか自省をしながら、私(住職)にできることは微々たるものであるが、宗教界として希望をいだける内容と感じた。 著者が日本人の宗教性を、「無宗教」と言わず「無自覚」と示されていることや、宗教者や宗教法人のこれからの社会貢献の可能性を「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」として論じられていることに興味を持ちました。
そこから、著者の研究領域である『共生学宣言』や『災害支援ハンドブック~宗教者の実践とその協働~』の1冊にも出会うことができました。
※著者の稲場圭信さん達が立ち上げた宗教施設などの地域資源を活用した減災・見守りシステの構築から、全国の避難所と宗教施設のデータが登録されている「未来共生災害救援マップ」https://map.respect-relife.net が公開されています。それぞれの地域で大きな災害などが起こった時、避難施設の情報として活用されます。