お墓参り

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お墓参りには、いろんな思いを持ちながらお越しいただく場合がございます。
大切な方が亡くなられてお墓に埋葬してから毎日かかさずお墓参りをされている方がいらっしゃいます。お墓で亡き人と会話をしているとお話されました。
前々住職や前住職の頃、お寺の近くのお住まいの方で、朝夕お墓参りに来られる方もいらっしゃいました。最近はお仕事に行く前にお墓参りにお越しいただく方もいらっしゃいます。
お墓の花が枯れる都度お花を変えにこられる方もありますし、お彼岸やお盆・お正月にお墓参りにお越しいただく場合もあります。大切な方の命日にお墓参りにお越しいただく方がいらっしゃいます。

随分以前の話ですが、子どもさんを亡くされた方が遠方から、毎年お彼岸やお盆にお墓参りにこられお墓で30分ほど過ごされ、庫裡にこられて挨拶をされお帰りになっていました。ご高齢になられ押し車を使用されてもお越しいただきました。お身体が元気であったこともありますが、往復のバスや電車の乗り降りが大変だと思い「バスや電車の乗り降りは大丈夫ですか」とお尋ねしましたら、「バスの運転手さんや、駅員さんが親切にしていただけれるのでありがたいです」と苦にされていないように仰られていました。
手を合わせる場所として、ご自宅にお仏壇があります。こちらも朝晩手を合わせる方もいらっしゃいます。私(住職)も仏様と対面しながら、歎くことも、思いを託すこともありますし、感謝をすることもあります。そして最後は、讃歎することしかできません。

お寺では、毎月16日に、境内にある戦没者・無縁の碑前、「倶会一処」(共同墓)・樹木の元の碑前・名号の碑前でお勤めをしています。季節によってまだ夜明け前の暗い16日や、既に日差しが強く暑い16日であったり、雨であったり、晴であったり、毎回同じ時間にお勤めをしていますが、同じことは何一つなく、移ろいを感じる時間でもあります。

今月は、コロナ禍や諸事情で移動が難しくお墓参りにこられない場合もあり、遠方のお同行様から命日のお勤めを複数依頼されています。大切な方の命日を過去のこととはせず、今の私との関係を結ぶ時間としていただければと思います。