メリー釈迦

今年のメリー釈迦(花祭り)は風も無く暖かい春うららかな2日間でした。
毎年、お花をお持ちいただく方が最初に、誕生佛に甘茶を濯いでいただいています。
昨年まで、新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止の為、甘茶をお飲みいただくことは控えていましたが、今年はご希望の方へお飲みいただくようにしました。

紀元前560年ごろの春、父をカピラバストウ国釈迦族の王スッドーダナ、母をマーヤー妃として4月8日朝、生まれられたのがシッタルダー太子、後のお釈迦様であります。
マーヤー妃は当時の習慣により、お産のため実家に帰る途中、保養に立ち寄ったルンビニーという美しい果樹庭園で急に産気付き、太子を出産されたのですが、このお産に無理があったのか、太子を生んでわずか7日後に、母マーヤー妃は世を去り、太子はマーヤー妃の妹であるマハージャパテイに養育されました。
このマーヤー妃の不幸と、生母を知ることなく生まれ育つことになった幼い太子の心を痛んで、清らかな伝説が生まれました。
それは「マーヤー妃が今を盛りと咲き誇る 無憂樹(むゆうじゅ)の赤い花を手折ろうとその手をあげたとたん、妃の腋の下からお釈迦様が誕生された」と言う伝説です。
 この伝説と共に、もう一つ有名なのが、お釈迦様は生まれてすぐに右手を上げて天を指し、左手を下げて地を指して真っすぐに立って、そのまま東・西・南・北・上・下の六方向に向かって7歩進み、「天上天下唯我独尊」と言われたという伝説です。
この伝説も又、信仰心のゆえに後世の仏弟子達によって創られた話でしょう。
しかしながら現在、この「天上天下唯我独尊」の意味を取り違えている人が意外に多いのです。
それは「唯我独尊」という文字をそのまま受け取って、他人と自分をくらべて「自分ひとりがこの世で1番尊い」ということではありません。
「天上天下唯我独尊」の本当の意味は、「他人であれ、自分であれ、人間としてこの世に生まれ出て来ることができて、しかも生命が今自分に宿っているということは、何ものにも代えがたい尊い事実である」と言う意味で、ひいては、「この世のすべての生きとし生けるものすべてにやどっている生命1つ1つが等しく尊い」ということをお釈迦様は2500年前にさとされたのであります。