科学から見た宗教

科学から見た宗教
『科学的とはどういう意味か』森博嗣著 幻冬舎新書
科学が苦手な私(住職)は、「科学的」と示されると、何も考えずそのまま信じてしまうのですが、本では「言葉(数字も含む)」の大切さや「感情」の捉え方、「生活」への心構えなど、「科学的」の意味は、生活の中の情報をもう少し自分で考えることが大切なんだと感じました。
「科学的」な見方とは、「科学」は「方法」であり「他者により再現できる」ことを条件として組み上げていくシステム。個人ではなく、みんなで築いていく方法が科学としています。
その観点からは、宗教は非科学であると思います。「あとがき」に述べられているように、信じる信じないは個々の自由に委ねられているので、布教(宗教・非科学)活動は、本当に正しいもの(あるいは魅力あるもの)であれば、自然に信者は集まる。尋ねてきた人には親切に教える、あるいは書物やウェブサイトで公開し、興味がある人には読めるようにする。といったレベルを超えてはいけない。勢力を拡大する活動として外部の一般の人を巻き込む行為や人の家にまで無闇に訪ねる宗教活動は逆に「信じられない」ものと宣伝しているものと考えていくべきかも知れない。
宗教が科学と違うのは、「他者により再現できる」ものでは無いからだが、それは教えが個人が救われる前提であるからだろう。魅力ある教えには自然にひかれる人は集まるだろうし、集団も生まれる。その教えを他者にも伝えたいと思うこともごく自然ではないだろうか。ただ教えを他者に伝えたい部分に他の目的が生じてしまうと宗教ではなくなってしまう。これまでもこれからもその点はよくよく慎重にならなければいけないと考えています。
※中川個人の感想です。