今年は、毎月10日に法苑院妙華寺を紹介していきたいと思います。
十字・九字名号
お寺の本堂の平素の向かって左余間には、高田派のご法主殿が書かれた、十字名号「帰命盡十方無碍光如来」と九字名号「南無不可思議光如来」を荘厳します。何時の時代からははっきりしていませんが、十字名号・九字名号は、親鸞聖人が書かれた、十字名号・八字名号に由来すると思います。現在 お名号(みょうごう)と言うと「南無阿弥陀佛」の六字の名号が基本と考えられますが、親鸞聖人が在世中書かれた名号から考えますと、十字名号・八字名号も尊ばれたことがわかります。
十字名号「帰命盡十方無碍光如来」名号の下に蓮台を描いたもの
親鸞聖人筆で十字名号が高田本山に残されています。親鸞聖人が書かれた十字名号は、本紙に十字名号があり、その上下に別紙を貼り足し、別紙に贊銘を記したもので、中国宋代の表具に倣った形式です。上下の贊銘は、お経の中の一文や、世親の「浄土論」の一文が記されている。
九字名号「南無不可思議光如来」名号の下に蓮台を描いたもの
親鸞聖人筆の「南無不可思議光佛」(八字)と記し、下に蓮台が描かれ、上下に別紙に贊銘を記された名号がある。
現存する親鸞聖人の直筆の名号は、高田本山の十字名号・八字名号と岡崎妙源寺の八字名号、本願寺の六字名号の四幅が確認されている。書かれた時期も高田本山の二幅は康元元年十月二十五日、妙源寺と本願寺が同年同月二十八日で、「三河念仏相丞日記」にこの時関東から京都の親鸞聖人に訪問をした真佛・顕智・専信・下人の弥太郎が四幅の名号を頂戴したと考えられる。専修寺の二幅は、真佛・顕智上人に与えられたものにほぼ間違いないと思われています。