ひとくち法話

―お釈迦様のご生涯―
06さとり
6年間の山中における苦行によって、心身ともに疲れ切っていたお釈迦(しゃか)さまは、スジャータから乳粥(かゆ)の布施(ふせ)を受けて再び生気をとりもどされました。そして、今度はブッダガヤにある大きな菩提樹(ぼだいじゅ)のもとで瞑想(めいそう)に入られました。
悪魔は相変わらず押し寄せてきて、精神統一をしているお釈迦さまの邪魔をしました。悪魔とは、私たちの眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)〔六根 (ろっこん)〕から入ってくる誘惑のことです。例えば、美味しい食物の匂いがすると食欲がそそられるといった具合です。自分に都合のよい意見や話には耳を傾けてしまうし、世間の学説や評判を常に気にすることなどは、修行しているものにとってはすべて悪魔なのです。
しかし、お釈迦さまは、今度こそ見事に、これらの悪魔に動ずることもなく誘惑を断ち切って、遂にさとりを開かれたのでした。
さとりとは、
あらゆるものは、縁によって生まれ、縁によって変化し、
縁によって滅するという「縁起(えんぎ)の道理」によることを
明らかにされたのです。
お釈迦さまは、このようにさとられて、私たちに救いの道を説かれることになりました。
さとりをひらいて仏陀(ぶっだ)となられたとき、お釈迦さまは35歳でした。また、さとりをひらいた日が12月8日だったので、この日を「成道(じょうどう)の日」と呼んでいます。
※「ひとくち法話」真宗高田派本山より

 

 

『お釈迦さんワールド』龍谷ミュージアム
龍谷ミュージアムの平成30年春の特別展示は、『お釈迦さんワールド』と銘打った展覧会でした。展覧会では4つの角度からお釈迦さんを考えることになりました。①お釈迦さんの生きた時代を俯瞰すると今の私達も知る多くの思想家が現れた時代のようです。会場のコラムに「鉄器や貨幣といった新たな技術やシステムの普及が、新しい思想・哲学を求め時代」とのこと「現代社会も、インターネットやAIといった新しい技術が急速に広まっているのでお釈迦さんの時代とよく似た時代のように感じられる」とありました。②お釈迦さんの生涯は、以前から知っていたつもりですが、ガンダーラの仏伝を見ているとまだまだ知らないこともありました。③お釈迦さんが亡くなられてからの仏教徒の追慕は今にも続いています。誕生をお祝いする花祭りやお悟りになられた成道会、亡くなられた時の涅槃会は、お寺の行事として多くの寺院で開催されています。④お釈迦さんの遺骨についても亡くなられた後の仏教の流れを知るとともにご遺骨を納めた器もさまざまで興味深く拝見しました。改めて仏教の開祖としてのお釈迦さんを身近に感じることができした。また、私(住職)が小さい頃に発表されていました手塚治虫氏の「ブッダ」の原画がたくさん展示されているのが懐かしい気持ちになれて、これまでに無い展示と思いました。