私の一盌

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私の一盌
今秋、京都の茶道資料館で開催されています『私の一碗』展では、60数名の著名な方々のかけがえのない思い入れがある一碗(茶碗)を拝見できるようです。
お茶を愛好する方々には一人一人かけがえのない思い入れの一碗があると思います。
私(住職)の一盌と尋ねられれば、妙華寺の親鸞聖人750年御遠忌を勤めた時に記念の品として岐阜県土岐市の陽山窯の水野雅之氏に依頼した志野茶碗を取り上げます。30盌造り、お勤めいただいた組内のご住職様やお手伝いいただいたお寺のご住職様などにお渡しさせていただきました。行事の1年前に、茶陶の水野雅之さんに相談し、お茶碗の構想を練って頂きました。半年ほどして、窯場に来て茶碗に何か書くよう連絡があり訪れました。素焼きされた茶碗が並んでいて、一碗一碗に筆で書き入れるのですが、大変難しく同じ字を書くのですがどれひとつ同じ形にならず貴重な体験をさせていただきました。後日、桐箱に記念行事の名称を入れていただきお送り頂きました。水野雅之さんとは以前に裏千家茶道の東海ブロックの青年部活動で知り合い親しくさせていただいています。日本の古陶の美濃(土岐)で茶陶の陽山窯の三代目(当主)として精進されています。

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父(前住職)はお茶を喫茶することにそれほど興味はありませんでしたが、高田本山の青少年会館で陶芸教室が開催されていて15年ほど参加して作陶を楽しんでいました。
電気窯でしたが柔らかい土の楽焼きの作品を造っていました。ある会の賞もいただいたことがありましたが、本人は月に二度ほど教室で、茶碗や花入れ、香合・香炉・菓子器など造って年に2度焼き上がった作品を知り合いの僧侶やお同行の方、友人に差し上げて楽しんでいました。毎年お盆のお勤めの時に前住職の造った花入れに、ノボタンをいれて迎えていただくお同行様がいます。

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 祖父(前々住職)は、お茶(薄茶)が好きで毎日居間で、自分で点てていただいていた姿を思い出します。茶碗は、いつも楽茶碗(黒)でした。祖父が往生してから、その茶碗の箱を拝見すると「一元写黒 銘 不老門 比老斎(藪内家6代)玉水焼」とあり由緒のある茶碗で毎日お薄を楽しんでいたことを知りました。
喜寿の時は、自祝いとして、万古茶碗に筆で自分の干支を書かれた茶碗が残っています。また茶友の僧侶から贈られたお茶碗や、祖父が旅行先で出会った茶碗などが茶室へ続く廊下の棚に並んでいました。祖父だったか祖父の年代の方から、以前は「組内の報恩講にお勤めに行くと、各お寺で毎年同じお菓子とお茶碗でおもてなしをしていただくことが楽しみであった」となつかしそうにお話しいただきましたことを思い出します。
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 お寺(妙華寺)にはお茶道具がいくつかあります。禅宗のお寺ではないですが、お茶は僧侶をもてなすことの大切な1つであったと思います。妙華寺の8代の実言上人は松尾流のお茶を教えていたようです。また内室として嫁がれた方のお寺から持参されたお茶道具も残っています。お同行の方の中には、ご往生されました方の形見としてお譲りいただくこともあります。また、高田本山から本山の行事の記念の品としてお茶碗をお贈りいただくこともあります。高田本山に伝わる宗旦古流の家元(ご法主)が銘をつけられたお道具も残っていて大切に伝えなければいけないと思っています。
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