報恩講の準備

報恩講の準備
真宗寺院として最も大切な行事の報恩講をどのように、お同行(生活者)に伝えるかそれぞれのお寺が工夫したお勤めを考えられています。
妙華寺では、本山の報恩講の初夜に準じたお勤めをしています。

春秋の彼岸会と春秋の千部会は、日中(にっちゅう)のお勤めですが、高田本山の報恩講(お七夜)では、夕方のお勤めの逮夜(たいや)の後、夜に入る時の初夜(しょや)のお勤めがあり、妙華寺では、これが一番、報恩講の意義をお伝えできると考えているからです。

初夜のお勤めは、平素「式文」と呼び習わしている『報恩講私記(報恩講式)』の拝読があります。

『報恩講私記(報恩講式)』は、永仁2年(1294)親鸞聖人の33回忌の時に、覚如が著したものです。親鸞聖人に対する深い謝意が表明されています。

内容は、総礼・三礼・如来唄(にょらいばい)・表白(ひょうびゃく)・回向で、表白は、①真宗興行の徳を讃ず。②本願相応の徳を嘆(たん)ず。③滅後利益の徳を述す。の三段に分かれていて、「一段」を「初段」とも称しています。

一(初)段では、親鸞聖人は、天台の慈鎮(じちん)に就き、「顕密の諸教を学び、修行に専念したが、さとりを得難きことを知って、法然に謁し、出離の要道は浄土の一宗のほかならないことに気づき、聖道の難行を捨てて、浄土 易行の大道に帰し、自信教人信の生涯を送った。真宗は親鸞聖人によって開かれたのであるから、念仏してその恩に報いるべきであると述べている。

二段では、念仏修行の人は多いが、専修専念の人は稀であり、金剛の信心の人は少ない。しかるに親鸞聖人はみずから他力回向の信を得て、易行の要路を人びとに明かした。まことに本願相応の化導、これにすぎるものはないと述べている。

三段では、遺弟(ゆいてい)たるものは、親鸞聖人祖廟に跪き、その真影を仰ぎ、親鸞聖人が著した数々の聖教を拝読して、この教法を弘めていこうとする決意を新たにするが、それが滅後利益の徳であると讃歎している。

妙華寺では、毎年、初段・二段・三段と準じて拝読をしています。今年は、「三段」の拝読年です。