お寺の掲示板

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その薬は本当に飲む必要があるのか

『大往生できる人 できない人』潔く、とらわれず、おまかせして生きる 田畑正久著 から
著書では、「なんとなく90歳まで生きたい」というのは、言うなれば「死にたくない」ということでしょう。この「死にたくない」という心の底にあるものは、「死なない”いのち”」に出遇いたいすなわち、「宗教的目覚め」を求めている叫びです。

最近、「心のカゼ」などと言われているうつ病を患う人が増えているようですが、その種類が変わってきたそうです。これまでは、真面目できちょうめんなタイプの方が「ああ、私が悪かったなあ」と言う自責の念でうつになるケースが多かったのですが、今は、「私は悪くない、周りが悪いんだ」という傾向の人がうつになる。(中略)
これは、自分が成熟していくことができず、現実を引き受ける当事者になることからいつも逃げ回って、「傍観者の発想」で生きていることに絡んで起こってきているのかもしれません。
自分が問われることも、自分が責められることもなく、そのため「大きな世界(仏の世界)」への気づきのチャンスが次第になくなってきて、私を取り囲む「外の条件」が私の幸・不幸を決めていると思い込むのです。
そういう他罰的な世界を育ててしまうのが、「傍観者の発想」ではないかと思います。 そうではなく「自分はどうなのか」という、主体的で内省的な視点が必要とされるのではないでしょうか。

※内なる自分に向き合うことは大変なことで逃げ出したくなることも経験しています。だからと言って私の現実を引き受けないことはできません。そんな葛藤の中で、自分に向き合うことができるには、「大きな世界」を気づいてこそ、落ち着くことができると感じます。