お寺の掲示板

お寺の掲示板
「悲しみ」を共有することが、立ち直る力になる

『人は人を救えないが、「癒やす」ことはできる』 谷川洋三著から

著書では続けて、「大切な人の喪失後、自分と同じような環境にいる人と話し、悲しみを共有することは、喪失を乗り越えるグリーフケアの大切なプロセスになります」とあります。

この「共有」というのは、゛自分だけでない゛ということを実感できるということです。 実際に対面しなくても、頭の中では゛自分だけでない゛ということは理解しているはずですが、実際に同じような境遇の人に会い、話すことで初めて具体的に経験し、実感することができるのでしょう。

自然災害に限らず、突然死であってもそうでなくても、大切な人を失ったという現実を受け入れるスピードは人それぞれです。
それまでとは異なる新しい人生、別の人生を生きるようなものです。できるだけ境遇の近い人と、気持ちを共有することは、新しい人生に慣れていくために有効なことだといえす。

※私(住職)は、大学生活で下宿をした時、学校や町中で、初めて会う人でも三重県出身と聞くと少しほっとした経験があります。海外で日本人に会うとほっとする感覚なのかもわかりません。何を「共有」するかその時の自分の立ち位置により異なりますが、「 悲しみ」や「苦しみ」など気持ちに整理がつかない時、同じような「悲しみ」や「苦しみ」を経験された方との会話で自分の気持ちを落ち着かせることがあります。