お寺の掲示板

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「苦い経験」が人を謙虚にする

『大往生できる人 できない人』潔く、とらわれず、おまかせして生きる 田畑正久著 から

外科医の手術では、「うまくいった、うまくいかなかった」という結果が、すぐに出ることが多いものです。外科医は、もちろん全力で手術にあたるのですが、手術の結果が思わしくない時は、もっとよい選択肢があったのではないかと、自分の力不足や医療の限界を思い知らされることがあります。
仏教では、「人は、『縁』次第では、どんな人殺しをするかもしれないし、どんな素晴らしいことをするかもしれない」と教えています。その教えがあったから、私もこれまで外科医としてヒヤリとする体験、肩を落とす体験を重ねながらも、いつも初心にもどり、医学知識、技術の習得に努力し、患者さんに迷惑をかけることを少なくするよう心がけて、続けてこられたと思わされるのです。
どこまで手術ができるのか その試行錯誤を先輩たちは繰り返してきたわけです。私たちは「名医」だとか、「神の手を持つ執刀医」などと、医師を賞賛することがありますが、それは苦い経験を次の糧としたから、そうなれたわけです。

※これまで歩んできた私の人生には、恥じることもたくさんあるのですが、そのことに向き合い今を歩んでいることに後悔はありません。