お寺の掲示板

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人は「生きてきたように、死んでいく」

『大往生できる人 できない人』潔く、とらわれず、おまかせして生きる 田畑正久著 から

著書で、「私(著者)も含め、終末期の医療の現場にいる多くの人が思うのは、『人は生きていたように死んでいく』ということではないでしょうか。まさに「生き様」が「死に様」というのは、本当にその通りだと実感します。「何を大事にして生きてきたか」が、そのまま出てくるわけです」
続けて著者の友人が仏教の勉強を始め、お坊さんにいろいろ質問したところ、「是非、続けて聞法してください」と言われたそうです。 「聞法」とは仏教用語で、仏教の教法を自己と照らし合いながら聴聞するということです。しかし、この友人は私に、「自分たちは食べるために働かなくてはいけなくて忙しいから、「聞法しろ、聞法しろ」と言われても、なかなかお寺に行けないんだ」と感想をもらしました。そこで「食べないと死ぬと思っているかもしれないけど、食べていてもやっぱり死んでいくよ」と私が返すと、苦笑いをしていました。「治療しないと死にますよ」と医師は言いますが、生まれてきた者は、誰もが老病死に必ずつかまっていく現実を忘れてしまっているのです。

私も若い頃から「食べていかないと死んでしまうけど、食べていても死んでいく」ことに「生きる意味」は何かとずっと尋ねているようなことです。