お寺の変化④

お寺の変化④
お寺の社会貢献
令和3年1月25日付けで、文化庁から「宗教法人が行う社会貢献活動について(情報提供)」と題する事務連絡がありました。

大阪大学大学院教授の稲場圭信氏の活動の1つに10年前の東日本大震災で被災者への宗教者の活動や宗教施設の活用がベースとして、災害時に寺院施設を避難場所として活用することに行政が着目しお寺の社会貢献について新しく宗教活動として認識されることになったようです。

ポータルサイト「まいてら」を運営されている(一社)お寺の未来理事長の井出氏は、今回の文化庁の事務連絡に対して、「いわゆる公益事業として行われている社会貢献活動も各宗教法人の判断に基づき宗教活動と整理することが可能と考えられる」と称賛されました。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/shukyohojin/pdf/92805001_01.pdf
「教義または教義を具体化した文書等(教憲等)に基づき、各宗教法人の判断による」という定めもあり、相応の根拠と判断が各寺院には求められることになりますが、根底には「社会通念」があることを文化庁も指摘しています。と述べています。

お寺の社会貢献が注目されていることは喜ばしいことです。

これまでのお寺も社会貢献として多くの事業や活動が興してきたことは貴重な社会的資源として今にも続いていますが、今のお寺としてできる社会貢献は何か改めて考えさせられます。
世の中が不条理であり、心の安寧・安心を求めるところに宗教があると考えていますが、社会と関わる実践的なこととして、地域の小さな私のお寺(妙華寺)でできることとは何か、それを可視化できるように考えています。

・地域のソーシャルキャピタルとしてのお寺の取り組み
①災害時における境内の開放(避難施設・スペースとして活用)
②人に寄り添う支援活動 「傾聴」活動(あなたの気がかりをお聴きします)
 ③今後、生きていくことに悩んでいらっしゃる方々に対する地域(行政など)の取り組み  の中、お寺ができることをわかりやすく示すことができればと考えています。
・お寺の文化の発信
 ①お寺のHP・寺院主催の講座・ワークショップの開催・登録文化財カードの配布
 ②久居城下案内人の会(ボランティア)と地域活性化などと連携
・地域の社会福祉協議会との連携
・おてらおやつクラブへの賛同
・自死(自殺)相談について取り組む団体への賛同

今、社会(世間)で注目されている多くの宗教者の実践活動にははるかにおよばない活動ですが、身の丈に合った活動を実践していきたいと思っています。

事 務 連 絡
令和3年1月25日
公益財団法人日本宗教連盟
都道府県宗教法人事務担当課
文 化 庁 宗 務 課
宗教法人が行う社会貢献活動について(情報提供)
近年、多くの宗教法人が、全国的に自然災害が発生する中で地域の防災・復
興に協力をされるなど、災害対策や地域支援などの社会貢献活動を行われてい
ると承知しています。
従来、このような活動の多くは、宗教法人法第6条に規定する公益事業とし
て各法人で整理されてきたものと思われますが、このたび、日本宗教連盟から、
このような活動と宗教活動の関係について問い合わせがあったため、宗教学に
関する学識有識者の意見等も踏まえ、下記のとおり、考え方等を整理しました
ので、情報提供させていただきます。

○宗教法人法上宗教活動の定義は行われておらず、国等には宗教法人の宗教上
の特性や慣習等宗教上の事項の尊重や不干渉が求められていること(宗教法
人法第84条・85条)から、宗教法人が行う活動が宗教活動にあたるかど
うかは、第一義的には各宗教法人の判断に委ねられていると考えられる。な
お、現状においても、宗教法人の中には、社会貢献活動を宗教活動と位置付
けて取り組んでいる例が見られるところである。
○上記の理由としては、
・宗教法人法成立に伴う施行通達(昭和26年7月31日文宗第23号(「宗
教法人に関する事務処理について(通達)」)においては「境内建物、境
内地であって同時に公益事業を行うためにも用いられるものは、境内建物、
境内地として処理してさしつかえないこと」とされていること、
・逐条解説宗教法人法(渡部蓊著)においては「単に宗教の教義をひろめ、
儀式行事を行い、および信者を教化育成することのみを宗教活動とし、し
たがってこれを行う団体が宗教団体として把握されるべきものとするいわ
れはなく、青少年の教化活動、孤児・難民の救済活動、社会の浄化活動な
ど、通常、いわゆる公益事業とか、慈善に関する運動として観念されるも
のがもっとも本来的な宗教活動として把握されることのあることは、じゅ
うぶん是認されよう。」とされていること、
・宗教法人制度の運用等に関する調査研究協力者会議主な意見等の概要(平
成19年3月)においては、「歴史的には、宗教団体の行う公益事業は宗
教活動の一部であった」「宗教活動と公益事業とは実際上、密接不可分な
関係にあるものも多く、宗教活動と公益事業が明確に区別できない場合も
ある」『宗教法人法においては、宗教活動は宗教法人にとって本来的「業
務」であり、公益事業は「行うことができる」「事業」であり、・・この
ようなことを踏まえて、それぞれの関係と在り方について考えるべきでは
ないか』とされていること
があり、いわゆる公益事業として行われている社会貢献活動も各宗教法人
の判断に基づき宗教活動と整理することが可能と考えられる。
○なお、各宗教法人が判断を行うにあたっては、以下の点に留意することが望
まれる。
・社会貢献活動が宗教活動に該当するか否かについては、教義または教義を
具体化した文書等(教憲等)に基づき、各宗教法人の判断によるものとさ
れることから、各宗教法人におかれては、根拠等を確認しておくことが望
まれる。教義や教憲等は、宗教法人規則等と異なり、所轄庁への提出・認
証、事務所への備付等は必要ないが、各宗教法人の教憲等の定めや慣習に
基づく取扱いが必要になると考えられる。
・「宗教法人法は、・・宗教そのものについては定義規定を置かず、社会通
念に委ねる立場をとっている。」(前記「逐条解説宗教法人法」)ことから、
社会貢献活動を宗教活動と整理するにあたっては、地域社会の宗教活動へ
のニーズをはじめとした社会通念を踏まえることが重要と考えられる。
・宗教活動は宗教法人をはじめとした宗教団体が行うものであることから、
宗教団体以外の団体等が行う社会貢献活動を宗教活動と整理することは適
当でないと考えられる。