「仏教は自死・自殺にどう向き合うか」

11月10日、「仏教と自死に関する国際シンポジウム」で、花園大学の佐々木閑師の基調講演「仏教は自死・自殺にどう向き合うか」を拝聴しました。とっても丁寧な資料をいただきました。
これまで仏教では、自死・自殺は悪であると教えられ、自死遺族の方々を苦しめていることがありました。しかし、徐々にではありますが自死・自殺が仏教で悪でないと言うことを知らされることになりますが、どうしてこれまで仏教では自死・自殺は悪であると教えられてきたのかについて、お釈迦さんの時代では自死・自殺で亡くなった方も、「般涅槃」したと仰せられていたが、時代が下がっていく中で、他の事例と混同しながら自死・自殺が「悪」であるように思われるようになったと佐々木先生の専門の律(仏教の法体系)から分かりやすくお話がありました。

講演の最初に、お釈迦様は、「平等」を説かれましたがこれは、生者だけでなく、死者も共に平等であること、そして自死・自殺について論じる時も死者も聞いている(一緒にいる)ことを胸にして論じることであると仰り、生者のおごりに気づかされました。 仏教における「悪」の定義を説明され、自死・自殺はその定義に当てはまらないことと説明され、自死・自殺は、仏教では仏道に入って涅槃へ至るチャンスを自ら手放すことで「もったいない行為」と話されました。また、教団について、本来ひとりの人をまるごと受けとめることがサンガ(教団)のあり方であったが現代ではその力が無いのが残念であると仰いました。
私(住職)の中で勉強不足で知らないことばかりの律(仏教の法体系)について、多くの事を学ぶことができ、お釈迦様が自死・自殺についてどう思われていたかがわかる貴重な時間をいただけたことに感謝しています。

「仏教と自死に関する国際シンポジウム」自体は、11月6日から海外の自死・自殺に関われている仏教徒を含め、横浜からスタートして京都で最終日を迎えたようです。参加された方々の日本と海外の自死・自殺に関する取り組みの事例発表から見えてきた課題についても活発な議論が進んだようです。この日は、このシンポジウムを振り返って、お話をされていました。日本でも自死・自殺に関わる僧侶や市民が増えること念願します。

※中川個人の感想です。