「お寺の講演会」ご講師の浦上哲也師から 6

今回、来月5月18日の親友婦人会総会後の「お寺の講演会」のご講師をお願いしています横浜市の「なごみ庵」のご住職 浦上哲也(うらかみてつや)師に「お寺の講演会」の半年前の11月から月一度のペースでご寄稿をお願いし快く受けて頂きました。その6回目を掲載します。
浦上さんは、僧侶ですがお寺の本堂から飛び出して、多彩な活動をされています。
平成27年の親友婦人会総会の日には、希望者に「死の体験旅行」と言うワークショップを受講していただきました。私(住職)も受講して、死に向かっていく自分の感情や取捨選択を受講した者同士が共有しながら、今生きていることの不思議を感じたことでした。
「死の体験旅行」と言うワークショップを全国で開催されたり、「自死・自殺に向き合う僧侶の会」の共同代表や、「仏教死生観研究会」を立ち上げられたり、お坊さんが回答する「hasunoha」の回答僧のお一人であり、「まちのお寺の学校」の講師であったり、最近は「方丈社」マガジンに連載が始まりました。また妙華寺も賛同する「おてらおやつクラブ」に参加する寺院の住職でもあります。そのような多くの顔を持つ浦上さんの今感じることを月一度、妙華寺のHPにも掲載して5月18日の講演を楽しみに待ちたいと思っています。

浦上さんの掲載文で、何か感想などございましたら、お寺にお知らせください。

 

◇ 還る場所 ◇
 また1人、恩師がこの世の縁を終え、浄土にお還りになりました。
 16年前、私が東京都中央区の築地本願寺にある東京仏教学院で学んでいた際、「伝道と教養」という数人のご講師が順に講義をされる授業があり、最初のS先生からは「都市開教」について教わりました。文字通り都市部で新しく寺院を開く活動についての授業で、新しくお寺を開くなんてことができるんだ! と非常に驚いた記憶があります。後にそのS先生から個人的に都市開教について詳しくご指導いただき、徐々に構想を練っていきました。

 2人目のご講師が、今回お亡くなりになったT先生です。第一印象は、なんとも大らかな方だなぁ、というもの。聞くと北海道のお寺のご出身で、若い頃は海外開教使としてカナダで仏教を広めていたとのこと。北海道もカナダも大地が広い土地柄です。広い土地で育まれた人は、心も大らかになるのだな、と感じたことを覚えています。お寺に伺うと、関西出身の明るい坊守さまと一緒に迎えてくださり、お二人の人柄が醸し出す居心地の良さを感じました。

 最初のS先生から都市開教について色々と伺ったものの、なかなか踏ん切りはつきません。その時にT先生のお寺を尋ね相談すると、「どちらにしても住まいを借りるんだから、ちょっと頑張って借家を借りて、一室を本堂にしてみたらいいじゃない。それでダメだったら場所を移っても、やめてもいいんだし」と朗らかに言葉をかけていただき、悩みがスコーンと突き抜けたように感じ、布教所を開く決心がつきました。

 T先生のお寺は「奏庵(かなであん)」。音楽が好きで「奏でる」と、カナダにご縁があったので「カナディアン」とかかっていて洒落ています。それにならい私たちも「なごみ庵」と名付けました。最近はお目にかかる機会がなかなか無いままの別れになったことが悔やまれますが、私もいつか浄土に還った時、しっかりお礼とご報告をさせていただこうと憶念しています。