ひとくち法話

和を以て貴しとす 憲法十七条
聖徳太子ご生涯の数々の業績の中で、特筆すべきは我が国で初めて憲法を制定された事であります。
『親鸞聖人の皇太子聖徳奉賛』第57首に
太子の御とし三十三(たいしのおんとしさんじゅうさん)
なつ四月にはじめてぞ(なつしがつにはじめてぞ)
憲法製して十七条(けんぽうせいしてじゅうしちじょう)
御てにて書して奏せしむ(みてにてしょしてそうせしむ)

憲法とは国家のあるべき姿を成文化したものであり、われわれ衆生のために掲げられた規則です。
その第1条に、どなたでもご存じの
「和を以て貴しと為し、忤うこと無きを宗と為よ(わをもってとうとしとなし、さからうことなきをむねとせよ)」とあります。

平和を最も大切にし、抗争しないことを規範とせよ、という意味であります。これは和国の実現を天下に示したものであり、憲法の根幹をなすものであります。
私たちがこの世で生きていく上で、和より大切なものはない。みんなが平和に生活することは、いつの世いかなる所であっても、願わずにはおれないことです。
しかし、現実には、地球のどこかで戦火の消えることがなく不安におびえている人々がいるのも事実です。

内外をあげて困難な時局に際し、政治の大本を示された太子が、和を憲法の第1条に示されたことに注目したいものであります。