ひとくち法話

親鸞聖人のご生涯をとおして
【第9回】信行両座(しんぎょうりょうざ)のおはなし
法然上人の念仏教団の最盛期には、お坊さんだけでも400人近くが集まっていました。
ある日のこと、親鸞聖人が法然上人に「たくさんな弟子がいますが、お念仏の教えを正しく聞いている者は何人ほどいるでしょうか。一度知りたいものです。」と言われ、「では、皆にたずねてみましょう。」と皆が集まった所で「浄土に生まれる最も大事な因は何か」と問われたのです。
念仏を申すこと「行不退(ぎょうふたい)の座」か、本願を信じること「信不退(しんふたい)の座」かのどちらかに座るように言いました。
さあ、大変です。日頃の聴聞(ちょうもん)が確かであるかどうかがわかるのです。お互いに自信なさそうに、顔を見合わせながら、大多数の者は行不退の座に座りました。親鸞聖人と他数名だけが信不退の座に座ったのです。法然上人は、皆が座ったあとで、「それでは、私は信不退の座に座りましょう。」と、親鸞聖人と同じ信不退の座に座られました。本願を信じることが往生の要であるとお示しになられたのです。
私たちが最も親しんでいる「不退の位すみやかに」の和讃に
「恭敬の心に執持して」(信不退のこころ)
「弥陀の名号称すべし」(行不退のこころ)
という句があります。私たちは「他力念仏」と聞いておりながら、ついつい称名(お念仏)に力がはいって数多く申すほど功徳も大きくなるような気がしますが、そこをこの和讃は、たくみに諭してくださっています。
※「ひとくち法話」真宗高田派本山より

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