5月のお茶

5月(立夏)から風炉になります。お茶が最初に振る舞われた場所は書院で、基本は風炉の形式であったと聞いています。佗茶として成立した茶室の炉の部分が作られ、風炉と炉の点前が成立していったのでしょう。
炉から風炉に変わる時、茶室のしつらえも変わります。今はそのような家も少なくなりましたが、障子や襖が夏障子(簾戸)になると一変に気持ちが涼やかになります。
香りも、練香から香木にかわります。炭のサイズも変わります。釜(茶釜)・柄杓・竹蓋置・香合なども変わりますので、炉から風炉に変わる5月と風炉から炉に変わる11月は、準備と片付けであわただしいです。茶道具は、これまでの日常生活で使われていた道具をお茶の道具として見立てたりもしていますが、今の生活では特別なものとなり、日常生活には必要の無いものになっているのでしょう。
初夏の頃は、初風炉の時期で、端午の節句(こどもの日)がテーマの茶会や、今は、「母の日」もテーマになります。裏千家では、5月の連休明けに(伊勢)神宮献茶式があり、薫風の中、凜とした雰囲気が心地よいです。

お寺に伝わった風炉があります。前々住職の使っていた茶室に炉もありましたが、伝来はわかっていません。また、古くからある釜は、錆び付いていたり、水漏れするものもあり使用するのが難しいです。使い続けて伝えていくことは大変なことだと思います。