寺報に見る住職の10年の歩み 平成22年
【寺報29号平成22年12月発行】
『勧進(かんじん)
勧進には、「寺社仏像などの建立・修復のため寄付をあつめる」意味があります。古くは、勧進聖として全国を遊行し、寺社仏像の建立・修復のため多くの民衆より寄付をあつめたことも文献で残っています。親鸞聖人が越後へ流罪され、赦免されてから関東へ行かれた説で有力なのが善光寺勧進聖の一員として関東へ行かれた説です。栃木県の高田にあります本寺には、善光寺式の一光三尊仏が本尊(秘仏)としてあり、一身田の本山にも17年に一度御開扉されていることもこの説を身近に思うことの一つです。昨年4月から5月にかけて、お世話方の皆さんと一緒に、本堂の改修の寄付のお願いに参りました。お世話方の皆様の周到な準備に頭が下がる思いで住職はついて歩くだけでした。同時に、お同行の皆様にも快くご寄付に賛同していただきましたこと改めて感謝申し上げる次第です。本堂の改修工事も順調に終わり、お世話方様・婦人会幹部の皆様に清掃のご奉仕をしていただき、本堂のご本尊をご復座いたしました。改修した本堂を皆様と共に未来に引き継いでいきたいと思います。親鸞聖人の関東でのご教化と勧進は、何もないところからのことですので大変なご苦労があったことは想像以上のものがあります。』
平成22年は、およそ10ヶ月間の本堂の改修工事が、お同行の皆様のご寄付により無事終わりましたことがなによりでした。ご寄付をお願いする時は、本当の意味をお伝えできなければできないことだとお教えいただいたことでした。
新しい本堂を楽しみにしていました前住職が(平成22年)5月14日に往生されました。ちょうど高田本山の御影堂の落成慶讃法会の初日でした。ご多用の中ご法主殿にお悔やみ、お念仏いただきしたことは、もったいないことでありました。前住職には、仮本堂での葬儀式で大変申し訳なく感じています。この年は6月に祖母の33回忌があり、親戚寺院のご住職のご葬儀、母の妹の葬儀と続きました。また私(住職)は7月の初盆火入れの前日(6日)に入院手術し、7日の朝6時に一旦退院して初盆火入れのお勤めをして次の日検査し正式退院になりました。自分の中の悲しみと向き合うこともせず、目の前にあるしなければならないことを行うことで精一杯であった時期でした。
2月はお寺としての行事が無く、少しゆっくりできます。中旬を過ぎれると中庭の白梅が咲き始めます。前々住職はこの花を見て歌を詠んだりお茶を楽しんでいました。前住職は梅の実を梅酒として楽しんでいました。下旬に入りますと、春彼岸の案内の用意に取りかかります。
先月下旬から、本堂の空調並びに境内墓地の通路整備を行っています。お同行の皆様には、大変心苦しいことですが、年末までに御志としてご寄付をお願いすることになりました。よろしくお願い申し上げます。また、工事中お墓参りでご迷惑をおかけする場合がございます。
※寺報に見る住職の10年の歩みは、毎月10日に掲載いたします。