お同行様からの寄進の一つ 刺繍絵画
お寺には、お同行様から寄進される物が多くあります。僧侶が着用する五条袈裟や衣であったり、本堂の什物の内敷や下掛、経本や本堂の荘厳の宮殿(くうでん)や額・唐戸であったり、そもそも本堂や鐘楼堂などの建造物やその修理もこれまでのお同行様のご寄進の賜物であります。また、お同行様がご趣味で作られた作品や生前大切にされていました遺愛の物も寄進されます。
今回はその中で、「刺繍絵画」のことがテレビ番組で紹介されたようです。そのお同行様はご自宅にあった「刺繍絵画」をお父様がご往生されてからお寺に寄進されました。お同行様は早速「刺繍絵画」を調査されています京都の美術館の研究員に連絡をされ、研究員の方がお寺に寄進されました「刺繍絵画」の調査にお見えになりました。私(住職)は、「刺繍絵画」と言う言葉も知らず、にわか勉強で、お見えになられた研究員の論文を拝読いたしました。明治・大正・戦前の昭和の頃まで日本が外貨を得る美術工芸品の一つとして、海外で「刺繍絵画」は、室内装飾品として人気であったようです。戦後は、刺繍技術に見合う対価が得ることが難しくなり技術者自身も少なくなっているようです。また刺繍は、仏教伝来と共に日本に入ってきたことも知りました。「刺繍」と聞くとシャツやハンカチのワンポイントやスタジャンを思い出すことしかできませんでしたが、話を聞く内に、京都の祇園の山鉾の飾りや相撲の化粧まわしもそうですし、曼荼羅にもあるようです。反物に下絵を描いて細い糸で刺繍をしていく作業は想像するだけでも大変な労力を感じます。美術館のように空調設備もないお寺で今後どのように保管をすればとお尋ねしましたら、一番は紫外線が当たらないことが大切だそうです。