ひとくち法話
病苦(びょうく)
お釈迦様は、人間には生・老・病・死の四つの苦しみがあることに気付かれ、その苦しみからどうすれば逃れるかという思いから出家されて苦行のすえ悟りを得られました。
病には病状の軽いものから不治の病まであります。現在ではガン、心疾患、脳卒中が三大生活習慣病として恐れられています。
健康の裏側には病苦がある。それは逃れたいと思っても逃れられない事実であって、誰でもさけて通れないものであります。
では、病苦をどう受けとめたらよいのでしょうか。それは病を得たことで病を肯定し、そこから生かされているわが身に気付かせてもらうことであります。
ガンを告知された知人が、
「元気な時は分からなかった親鸞聖人のみ教えが、自分が病気になって、初めてわが身にしみて伝わってくる。」
と話してくれました。
「病気になったあと、あれこれ悩み、迷信に走ったりしなくても、安心してまかせられる尊いみ教えを聖人は一生かけて、私達のために説いて下さった。それを信じて生きていけば、何も心配はいらない。」
というのです。
生死の苦海ほとりなし ひさしくしづめるわれらをば
弥陀の悲願のふねのみぞ のせてかならずわたしける 『龍樹菩薩第7首』
と和讃される聖人のおことばを信じて生きていくことこそ、苦しみをのりこえていくことだと思います。 ひとくち法話より