ひとくち法話

御同行は法(のり)の友
「あなたの宗旨(しゅうし)は」「私は真宗です」「ご本山は」「一身田の高田本山です」「うれしいね私も同じや」電車の中で隣り合わせた見知らぬ人が同じ念佛の御同行であったということで、互いに意気投合して話に夢中になってしまい、ついつい乗り過ごしてしまったという人がありました。お念佛の友という所で人々は真に通じあえるのでありましょう。寺の法会に遠いところから参ってくださる奥さん二人がいます。一人は電車とバスで、もう一人はマイカーで。ある時「同じ方向なのですから私の車にお乗りになったら」ということから、以来申し合わせてお参りされるようになり、今では寺参り以外のいろいろの交際をされています。本当によき友が出来たと喜んでおられます。
富める中での貧しさは、人間関係そのものの上にますます顕著に現れます。地域社会や職場に於いてでだけでなく、家族の中でも親子の断絶、家庭内離婚等々家族そのものが崩壊しつつあります。人は真の心の通じ合った間柄がなければ生きて行けないから人間といわれているのです。
ご開山親鸞聖人は、御同行、御同朋(どうほう)と、お念仏のもとで結ばれる心の友を目ざして僧伽(そうぎゃ)の形成に力してくださいました。先ずは夫婦、兄弟、家族がかくあって、それを多くの人々へと広げて行きたいものです。「み仏の恵みをいただき、念佛のお同行として、世のため人々と共に歩みます」と、生活の指針にありすが、御同行は即ち法の友であり、温かい人間関係がうまれてくる源であります。
同一に念仏して別の道なければ四海のうち皆兄弟なり 親鸞
※「ひとくち法話」真宗高田派本山より

 

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