ひとくち法話

文類偈(もんるいげ)
私たち高田派の勤行は、お朝事は「帰命無量寿如来(きみょうむりょうじゅにょらい)」の『正信偈(しょうしんげ)』です。お夕事は『文類偈(もんるいげ)』の「西方不可思議尊(さいほうふかしぎそん)」です。みなさん幼い頃に、お夕事は家族が仏前に座って、大きな声でゆっくりと節をつけて「西方不可思議尊」を勤行した記憶はありませんか。「私は正信偈より文類偈の方を早く覚えてしまいました」というお方の話を聞いたことがあります。現在でも私たち高田派の者は、たいてい『文類偈』を諳んじています。
真宗10派のうちで、毎日の勤行に『文類偈』を申すのは、わが高田派だけですから、このこともわが派の伝統の一つに挙げることができるでしょう。
両偈文とも1行7字で120行という構成です。教えの内容は、共に”信心の偈(しんじんのうた)”ですから同じです。それなのになぜ『正信偈』は朝に、『文類偈』は夕べに勤めるのでしょう。『正信偈』は、聖人が栃木の高田専修寺でご生活の頃に著された『顕浄土真実教行証文類(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい)』の中で書かれたものであり、『文類偈』は晩年に書かれた『浄土文類聚鈔(じょうどもんるいじゅしょう)』の中に出てきます。そこで、後で書かれたものを夕事に勤めるようになったというのです。
『文類偈』は「西方」で始まっています。西方極楽世界(さいほうごくらくせかい)〔観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)〕といわれるように仏教では西方は、阿弥陀如来の仏国土を指します。自然界でも西方は太陽が沈みゆくところであり、夕焼けの情景は私たちに絶対の安息を約束する世界のようです。これは人間の純粋感情と申してもよいでしょう。
聖人が、西方から筆を染められたところに『文類偈』の深いお心を汲み取ることができるようです。お夕事にはぴったりの偈文です。

※「ひとくち法話」真宗高田派本山より

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寺報に見る住職の10年の歩み 平成21年

寺報に見る住職の10年の歩み 平成21年
【寺報28号平成21年12月発行】
『聴聞(ちょうもん)
今まで何回、お説教(ご法話)をご聴聞されましたか。これから何回ご聴聞できるでしょうか。お寺の法会には、お説教(ご法話)があります。妙華寺では春秋のお彼岸と春秋の千部と12月5日の報恩講の5回法会がありますので、年5回のお説教(ご法話)をご聴聞できる機会があります。お説教(ご法話)は、仏(阿弥陀)様の仏徳讃嘆です。親鸞聖人がいただいた真実(阿弥陀)の教えをわかりやすく私たちに語りかけていただく場です。私たちは、仏(阿弥陀)様の教えをどれほど知っているでしょうか。家庭の中で教えていただいたり、仏教書から学んだりされる方が多いと思いますが、布教使のお説教(ご法話)は、各々が親鸞聖人からいただいた真実(阿弥陀)の教えを私たちに直接語りかけてきます。仏徳讃嘆ですので同じようなお話しと思われますが、何度聴聞しても新たなうなづき(気づき)があります。私たちは、日常生活の中で何事もなく自分の思い通りの生活をしている時は、真実(阿弥陀)の教えに出遭わなくても不安を覚えません。しかし、悩んだり、苦しい時はどうでしょう。私たちに真実(阿弥陀)の教えは必要ないものなのでしょうか。私にとりましては、日常の中で悩んだり、苦しんだり、悲しみにうちひしがれた時、どうすることもできなくなった時に、真実(阿弥陀)の教えに力づけられたり、感謝を感じたりします。どんな時も私を見捨てない、真実(阿弥陀)の教えは日常の生活の中でなくてはならないもののように感じます。そのことを改めて気づく場がお説教(ご法話)の場であります。皆様もお説教(ご法話)をご聴聞されませんか。』
 ※寺報の中の12月5日の報恩講は、現在12月第1日曜日にお勤めしています。
 この年の翌年(平成22年)1月から本堂の修理が始まる時で、この年の報恩講が終わりますと本堂からご本尊のご遷座の用意や本堂内の備品の片付けをすることになりあわただしい年末を迎える時でした。本堂の改修中は、妙華寺会館を仮本堂として使用します。
前住職はこの年の秋彼岸会まで出仕されました。10月頃から体調を崩し入退院が始まりました。私(住職)一人で法務を行うことの大変さを身にしみて感じ始めました。
昭和から平成に入り20年、お寺の行事への参加者が減少する中でこれからどうなるのか不安な部分を現実として受け止めなければいけないような気持ちでした。そのことが「聴聞」することの大切さを綴った文章になりました。
また娘の大学時代の友人のお寺の娘さんに若者から見るお寺の現状と期待を、寺報へ投稿していただいた年でもありました。
 お正月の行事は、朔日の午前5時30分からの修正会です。来年からは時間を変更してゆっくり大晦日を過ごしたいと家族からの声もあがりますが出来る時はそのままで続けていきたいと思い今日に至っています。ただ参詣される皆様の生活環境も変化していますので一度立ち止まって皆様のお声もお聞きしなければいけない時期かもわかりません。ご意見・ご希望がございましたらお寺のHPからでも結構ですのでお聞かせください。
高田本山の報恩講や総代会・世話方会・婦人会幹部会などお寺の一年の振り返りとこの年の予定を報告する資料作りでゆっくりできる時間がありません。
※寺報に見る住職の10年の歩みは、毎月10日に掲載いたします。
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【僧侶・寺族対象のご案内】 チラシができました

【僧侶・寺族対象のご案内】 チラシができました
お寺の住職・寺族は、自死の苦悩を抱えた方・自死で大切な方を亡くされた悲しみを抱えている方と接する可能性が多くあります。
また、三重県では、毎年400名ほどの方が自ら命を絶たれている現状があります。このような現状の中、自死の苦悩に本当に寄り添った関わり方が出来ているか、悩んだりすることはありませんか?
このたび、実際に自死念慮者や自死ご遺族に向けた年間2,000件以上の電話相談・居場所づくり活動の実績を積まれている「京都自死・自殺相談センター」様にお越しいただき、「自死」のさまざまな場面に対面した時の簡単なワークを取り入れた学びの場を開催いたします。皆様の中でも、各地で自死念慮者・自死ご遺族の方のサポート活動をされていられる方もいらっしゃいると思いますが、もう一度基本を見直してみませんか。もちろん初めての方も歓迎いたします。事前の申し込みの上、会費は当日徴収させていただきます。
 日時 平成29年2月10日(金)午後1時30分から午後4時頃
【先行案内が午後3時までとなっていましたが研修の充実で午後4時に変更になりました】
会場 妙華寺会館 三重県津市久居二ノ町1743番地 法苑院妙華寺内 
対象 僧侶及び寺族  会場の都合で20名まで
会費 2,000円(領収書をお出しします)当日徴収させていただきます。
申込先 HP(myoke-ji.com)のお問い合わせ(メール)に、 ご参加されます方のお名前・ 宗派・所属寺院名・ ご連絡先を記載されお申し込みください。
※僧侶として「自死に向き合う」ことが大切であることは分かっていますが実際「自死に向き合う」ことを考える時間がこれまでにあったでしょうか?
お寺の住職・寺族としてお檀家様・お同行様と寄り添う中で、自死念慮の方や自死のご遺族の方々とお会いすることがございます。その時本当にその方々の思いに寄り添えているか悩んだり考えることはありませんか?
この度、京都自死・自殺相談センター様にお願いしましてSottoの活動の1つとして、出前研修を開催させていただくことになりました。
今回は、僧侶及び寺族の皆様を対象としまして、「自死」のさまざまな場面に対面した時の簡単なワークを取り入れた学びを考えています。会場の都合でご参加いただける方は事前にお申し込みをお願いします。
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2017-01-13
当日のテーマが決まりました。「自死の苦悩を抱えた方に何ができるか」をテーマとして、死にたい気持ちを抱えた方や、大切な方を自死・自殺で亡くされた方の気持ちについて、このような方との関わりについて僧侶に期待することを学び、ワークショップでは対話のよりよい関わり方を模索したいと連絡がありました。
よろしくお願いいたします。
2017-02-10
自死についての学びの場
雪が心配でしたが、高田派・曹洞宗・天台真盛宗のお寺の僧侶・寺族の方13名と行政機関の方5名の方々にお集まりいただきSottoの出前研修を開催させていただきました。
ご講師として京都自死・自殺相談センター様から金子様・小坂様にお越しいただき、「自死の苦悩を抱えた方に何ができるのか」をテーマとして、Sottoの活動から「死にたい気持ち」を相談することはとっても勇気のいることで、その時に相談者の心をシャットアウトしてしまうと関係性が閉じてしまうこと。「死にたい気持ち」の原因を取り除くことができても、その方と安心できる関係性を持っている方がいなかったら本当の問題解決にはならないこと。「死にたい気持ち」の相談者に本当にその方の悩みに向き合っているのか、相手の苦悩を想像することの大切さや相手と私の関係性の大切さに改めて気づくことができました。ワークショップでは、愚痴を聴くことを体験し、モデルケースで相談者と面談者の会話を観察者の立場で聴くことを学びました。質問もあり終了時間が延びてご迷惑をおかけしました。最後に、三重県こころの健康センター様から、自殺予防・自死遺族電話相談を毎週月曜日、自死遺族の集い(わかち合いの会)の場も奇数月に一度あることも案内されました。
改めて、自死の苦悩を抱えた方に何ができるか考えることになりました。
※先月(1月中旬)の夕刻に若い学生が庫裡を訪れ、温かい飲み物を求められ、温かい紅茶を用意していました。その間、坊守がお話しを聴いていましたら、朝母親とけんかをして家を飛び出し、図書館にいたけれど閉館時間となり暗い中、街を歩いてこのお寺にきたようです。温かい飲み物とおにぎりをお出ししてもう一度お話しを聞きながら、目の前にいる学生さんのお母さんのことを思いました。けんかの原因ははっきりは分かりませんが、親御さんが子どもを心配するあまり、怒ることもあることを、私(住職)の子どもの時のことを思い出しながら、また一人の子どももっている親としてお話ししました。
学生の方には、その時帰りにくい家だと思いましたが、心配をしている親御さんのことを思わずにはいられませんでした。翌日、昨夜の学生の方が手紙を書かれて持参されました。そこには、昨日、悩んでどうすることもできなかった気持ちが、親の気持ちも考える機会になりよかったことが書かれていました。
手紙をいただいたことはうれしく思うことでしたが、、学生の方と話をしている時にそれほど(死にたいと思うほど)悩んでいると気づけなかった自分が恥ずかしくもありました。
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井戸山の報恩講

井戸山の報恩講
4日の井戸山地区の報恩講は、以前は小雪が散る日もありましたが、最近はおおむね穏やかな日にお勤めをさせていただいています。朝8時半頃から伺います。お正月気分が続いているように思われますが、役所や企業では仕事始めの日であります。その日に報恩講として、お仏壇の前でお勤めをさせていただくことはとてもうれしく思います。 お勤めは、重誓偈・正信偈・五首和讃(愚禿悲歎述懐より)・短念仏・廻向文です。冬休みですので小さな子どもさんがいらっしゃるお家もあり、お祖父さん・お祖母さん、お父さん・お母さんと一緒に正座をして大きな声をだしてお念仏申すお姿は有難いと感じています。中には小さかった子どもさんが大きくなられ、これまでのお父さんやお母さんの役割をされるお姿に暖かさを感じます。これからもより多くのご家族が、共にお念仏申す生活ができることを願ってしまいます。
 仏壇の上の長押に、高田本山の堯猷上人の書かれた梵語(サンスクリット語)の「ラトナ・トラヤム」(三宝)や「サンサーラ・サーガラー」(生死大海)の額装が掲げてあるお宅もあり、いつも拝見しているにもかかわらず、新しい発見があります。
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ひとくち法話

念仏高田(ねんぶつたかだ)
高田派の宗風をいいあらわす言葉のひとつに「念仏高田」があります。みんなに親しまれている「不退(ふたい)のくらいすみやかに」の和讃の中に「弥陀(みだ)の名号称(みょうごうしょう)すべし」という一行がありますが、この心をいいあてた言葉でしょう。
親鸞聖人は、真宗のすくいを「念仏成仏 これ真宗(ねんぶつじょうぶつ これしんしゅう)」とのべられました。「凡夫(ぼんぶ)である私たちがほとけになる道はただひとつ、他力の念仏による」との教えです。
念仏を申すといっても、普通一般には「自分の願いごとがかないますように」とか「罰があたりませんように」などと、心の中で自分の都合のよいことを考えて、その実現を願いながら口でもナモアミダブツを称えていますが、これは欲の念仏、勝手な念仏、呪文の念仏といって、間違った念仏理解だと聖人はきびしくいましめられました。
そして、同じ念仏でも真宗は他力の念仏です。他力とは、ほとけさまのおはたらきです。ほとけさまが「われにまかせよ。われを信ずるものは必ず救う」と約束された。その私たちへの呼び声がナモアミダブツだと聖人は明かされたのです。
だから、わが高田派に「念仏高田」という宗風があるといわれることは、この聖人がおっしゃる正しい「他力の念仏」に立った教団ということでありましょう。
私たち、この高田派に身を置く者にとっては、常にこの大事な伝統の教えに立ち返って、「弥陀の名号称すべし」とほとけの呼び声を聞いていくことが大事であります。

※「ひとくち法話」真宗高田派本山より

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高田本山の報恩講(お七夜)

新しい年を迎えました。今年もよろしくお願いします。
高田本山の報恩講(お七夜)が始まります。
親鸞聖人のご遷化が、今の暦で正月16日です。高田本山の報恩講は毎年ご正忌をご縁として正月9日から16日までお勤めされています。
七昼夜、親鸞聖人のご遺徳をしのび、ご恩を喜び報謝させていただきますので、「お七夜」と親しまれて呼ばれています。
 妙華寺からもご懇志を本山にさせていただきそのお印として「御非時券」を17枚ほどいただいています。9日から16日まで本山の食堂(じきどう)で用度(ようど)講の皆様が、美味しいお非時を用意していただいています。
お同行の皆様も高田本山のお七夜にお詣りにいかれるご予定がありましたら妙華寺にお申し出下さい。先着順にはなりますが、「御非時券」をお渡しさせていただきます。
※修正会から配布させていただいています。

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