和讃

和讃をご紹介いたします。和讃について多くの参考書がありますが、『注解 国宝 三帖和讃』常磐井鸞猶著と『浄土高僧和讃講話』川瀬和敬著より紹介します。

浄土高僧和讃 曇鸞和尚 第19首

無碍光の利益より 威徳廣大の信を得て
必ず煩悩の氷とけ 即ち菩提の水となる

阿弥陀佛のきわなき光の恵みの中から、すばらしい力と徳を持った広やかな信を得て、
浄土に生まれる身とさせていただくと、必ず煩悩の氷がとけ、それがそのままさとりの水と変わる。

(利益)より 諸註「により」の意とするが、「から」の意にとっても不都合はない。

以上 【注解 国宝 三帖和讃 常磐井鸞猶著より】

阿弥陀佛のさわりをさわりとしない光明智慧よりもたらされるご利益として、「威徳侶無く」「功勲広大」なる廻向の信心を賜ることができ、それによって必ず煩悩の氷もとけ、そのまま菩提の水と変わります。氷と水の譬えは非常によく分かります。転変でありつつ、もと一体であることにえなずくのですが、さて煩悩と菩提とのものがらが一つであること知るには、体験実証によるほかありません。無明が明に転ずる次第も同様です。
すでに第11首にも「他力広大威徳の心行」とありましたように、自他に向かって信が威徳広大であることを語りたく、「行文類」にも、仏の威徳広大を聞くが故に、不退転を得るなり。と見えます。信心はわが胸の中に小さく抱きこむもの、との勘違いもなきにしもあらずだが、実は信心は広大なのです。中空の星を眺めて感じる広大はあっても、わが身に即しての広大は、信心においてはじめて実証するのではないでしょうか。広大なる信のうえに威徳がかがやくのです。

以上【浄土高僧和讃講話 川瀬和敬著より】